古書のかわら版 古本屋名簿便り4

「名簿」には掲載を希望しない店もある。ネット専業で自宅に来られても困るという心配は解る。無店舗と明記する、住所を省くなど提案し、大抵は納得されるのだが、先日はそれでも載せるメリットがないと言われた。「名簿」を買う人ならネットで検索するはずだと。それはちょっと違うと思う。

編集部では、ネットで何でも検索できる現在だから、アナログな部分も大事にしたいと考えた。「地図」のように散歩は無理でも、実際に本に出会える場についての情報にはこだわりたい。ただし、持ち運べる新書サイズで。一軒あたりの情報を絞らねばならず、URLやメールアドレスはとても入らない。今時これらがないのは不備だとのご意見もあった。よっぽどアナログな人間が編集しているのかとも。だが、周囲のデジタル人種でもURLを打ち込みはしないし、それこそネットで容易に得られるだろう。

店売り中心のお店はHPを持たず「日本の古本屋」にも最低限の情報しかない場合も多い。電話してみると、山岳関係や翻訳文学など特色もはっきりしていて 活発な様子が伝わってくる。「ネットの時代だが(だからこそ)、街の本屋として頑張っている」という声もまた少なくないのだ。

確かに“無店舗”は増えた。全体の四分の三をまとめたところで、ざっと計算したら、掲載店中の無店舗率は二割。都市部は低めだが、埼玉・千葉・茨城あたりで三割。事務所的な店も含めたらもっとあるだろう。無店舗率を押し上げているのはネットの隆盛だが、無店舗=ネット販売とも限らない。欧米スタイルの予約制事務所もあれば、目録発行後二週間は来訪歓迎の“無店舗”もある。店には多様なスタイルがあるから面白い。いろいろなお店を訪ねる楽しみをサポートする小さなアナログ本を作りたい。(M)

©日本古書通信 2010年9月号より転載

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