『彷書月刊』300号について

田村七痴庵


<日本の古本屋>のご利用ありがとうございます。
ならびに、メルマガ配信のご登録まことにありがとうございます。古書組合広報部より、『彷書月刊』についての原稿提出を依頼された折、会員数ってんですか配信数ってんですか、が13万人と聞いて、古本好きがそんなにいらっしゃるものかと、頭の古い古本屋にはどうもぴんとこない。

しかし、ありがたいものですなあ。わたくし『彷書月刊』という雑誌をだしております彷徨舎の田村、と申します。いささか、雑古書も扱っております、古本屋の店名を、なないろ文庫ふしぎ堂と申しまして、古本屋と編集者のふたまたこうやくを貼っております。こういうごあいさつも、今年の9月25日、『彷書月刊』が10月号、300号をもちまして、休刊と相成りますので、もうしばらくでございます。

もうしばらく、となったので、こういうご依頼もいただけることとなり、<最後の授業>ならぬ、<最後に近くなる宣伝>をさせていただきます。

で、『彷書月刊』をご存知ないお客様には、現在発売中の8月号を是非ともみていただきたい。<川崎長太郎の歌が聞こえる>と題された特集は、川崎長太郎ファンならずとも、古書好きならばウナると思いマス。なんだヨ自画自賛かよ。いや、実は、奥付には、編集兼発行人・田村治芳とゴザイマスケレドモ。たとえば、本日これを執筆しております8月10日現在、ワタシの身は、都内某所にアル野戦病院入院病棟の一室であります。病名は、食道癌上大静脈症候群デアリマス。一昨年の10月、食道癌になりましてからのてんまつは、『彷書月刊』誌に「ナナフシの散歩道」と題したエッセイを田村七痴庵名で執筆いたしております。つまりワタシは、食道癌の患者で、このほぼ2年『彷書月刊』をつくっておりますのは、副編集長の皆川秀と、編集の目時美穂の二名でアリマス。彼等のガンバリのオカゲで300号もむかえられますわけで、マコトにアリガタ イ。いや、内部事情を申し上げました。

なお少し内部事情を申しあげれば、『彷書月刊』の休刊はワタシの病気によるばかりでなく、いわば世間の動き、雑誌における広告収入の部分が、『彷書月刊』では古書目録掲載収入であったわけですが、それが、維持できないほど無くなってしまった。それにともない、購読者もへってしまったというのが原因でもありました。そして最後の御購読をおねがいする、そのひとつのバイタイが、メルマガの、13万人様デアル、というのもマコトに皮肉と思わざるを得ませんが、とりあえず、楽しく、ほがらかに、9月号がでますのが、8月25日。10月号休刊300号がでますのが、9月25日。この2冊で300号の総目次を特集の予定であります。できれば、早目に御購読いただけますよう、なにとぞよろしくおねがいいたします。

『彷書月刊』は、創刊以来、特集主義をもちまして、300号それぞれが、なにかの特集になっております。まだ、バックナンバーのある号もございますので、こちらのほうも、なにとぞよろしくおねがいいたします。

1985(昭和60年)年から2010(平成22年)年という25年は、ある意味では、激動、白熱の25年だったと思います。歴史的には、たとえば、昭和元年から、25年という数字を区切れば、こっちの方がスサマジかったでアロウとは思いますケレドモ、現代史の動きと、古本屋という業態や、古書の世界を考える時、それでも小さな雑誌として、『彷書月刊』は古書好きのみなさんに支えられてここまでくることができたのでした。

それに対する感謝と、あと2号、今少しのご協力、ご購読をおねがいいたします。このメルマガをごらんになりまして、『彷書月刊』をはじめて知り、なおどこでみていいかもわからナイ場合はどうぞお気軽にご連絡をくださいませ。ありがとうゴザイマシタ。よろしくおねがいいたします。


 


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