『古本道入門』

岡崎 武志


 毎度、お騒がせしています。古本および古本屋について、あれこれ書かせてもらっています岡崎武志です。さて、このたび、中公新書ラクレより『古本道入門』を出させてもらいました。書下しです。

 これまで、あれこれ書いてきた古本と古本屋についての文章の集大成のような本になっております。帯に「敷居は低いが、奥は深い。」と、編集部がつけた惹句がありますが、まさしくその通りで、古本屋というと、かなりの読書好きでも「敷居が高い」と敬遠している向きがあります。そこを軽々と飛び越えて、もっと古本と古本屋のことを好きになっていただきたいと考え、全身全霊を傾け、この一冊を書きました。

 古本屋の現在がどうなっているか、神保町の私的ガイドから、本の売り方まで、古本を巡る川上から川下まで網羅したつもりです。ブックオフについての章は、コアな古書通の方々において賛否両論はあるだろうと思います。

 しかし、古本と古本屋の長い将来を考えるとき、この新しい形態の古本の売り方は無視できないでしょう。なるべく、古本初心者を排除することなく、しかももう少し奥にあるおもしろさまで、誘導したいと、網を広く投げることを心がけました。

 ケータイ世代の十代、二十代の人が手を取って、「へえ、古本って、こんなおもしろものなの」とオドロキを持って、一歩、古本世界に踏み出すきっかけになってくれればうれしい。

 もちろん、即売会へも通い、目録でも買い、ネットでも熱心に検索するような、「古本者」の方々にも、手に取っていただきたい。 けっして、ご損はさせない本だと、ひそかに自負しております。


 


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