『葉山藝大BOOK-02 本に恋して』

用美社 編集長 岡田 満


「葉山藝術大学」とは、2011年春、神奈川県葉山町に開校した架空の学舎です。ここに集う人たちには、それぞれの心に宿る様々な学舎の姿があるでしょう。性別、地域、年齢を超え、「ものづくりとアート」を視点に、「知性とユーモア」に沿ったイベントを自由に軽やかに体感していこうとする新しい発想の学舎です。とりわけ、次代を背負っていく若い人たちへの思いが、基本の理念です。

『葉山藝大BOOK』は、葉山藝大の基本理念を実際の形として世に残すため、その一方の柱として企画しました。「ものづくりとアート」にかかわる人や作品、事柄について、さまざまなジャンルで思索し行動する、清新な若い人たちの文章と写真等による発表と紹介の場、サロンです。「役に立つもの」と「美しいもの」の融合が、こうした中で実現していくことを願い、葉山藝大出版部として2011年秋より刊行を開始しました。

『葉山藝大BOOK』の特色は、「本」と「美しい本作り」に携わる人たちの言葉を本の構成の骨幹においていることです。数年前より葉山で開催されている一箱古本市やアートブックフェアで培われた「本」に対する思いを結実する形で、古書も新刊も含めた「本のこと」を、現在の視点で『藝大BOOK』の中心に捉えていくことが大きな姿勢と考えています。不定期に、また本のサイズや製本形式さえ限定せずに、年間二〜三冊の出版を予定しています。それがこの自由な発想の学舎に沿った出版形態です。

昨秋の01号は「美しい本」と題して、本作りに携わる編集者・出版人・デザイナーの言葉を収録しました。今回の02号は「本に恋して」のタイトルにより、古書店店主のつぶやき、美術家によるイメージブック、出版余録等、約40名の文章と図版により構成しました。

「胡蝶本」「創元推理文庫」「小布施・まちとしょテラソ」「復刊ドットコムの活動」「加藤一雄余談」など、ジャンルを超えた書き手による清新な内容に溢れています。また本書全体を通して、映画、音楽、美術、文学、詩、ファッション、デザイン、写真、そして職人的・伝統的な仕事まで、現代のさまざまなジャンルで、よりよきもの、美しいもの、新しいものを目指して励む、「ものづくり」に携わる若き人たちの紹介、発表の場として捉えていることも大きな柱です。『葉山藝大BOOK』こののち、どうぞご支援ください。

編集代表・岡田満(用美社)



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