「なぜか? 出た 音羽館の本」

広瀬洋一

皆さまこんにちは。このたび、9月に本を出しました音羽館の広瀬と申します。 当店は何の変哲もない小さな町の古本屋です。ですから、まさか自分が書いた本が出版されるとは! と正直、今でも不思議な気分でいます。

ただ書いたといっても、実は自分が書いた部分は少なく、おもに喋った内容を、ライターの北條一浩さんに書き上げていただきました。北條さんは昨年、『わたしのブックストア』を出したり、夏葉社の『冬の本』を編集している、今とても脂の乗った書き手のひとりです。近場の何時間いても嫌な顔をされない、ナイスな喫茶店で何度も話を聞いていただきました。版元は「本の雑誌社」、そちらの宮里さんに編集担当をしていただきました。お二人ともこの本を出す前から、当店のお客さまで、最近では来店時に必ず話し込んでしまうような間柄になっていました。

そんなこともあって、気の合う仲間同士に語ったような、肩の凝らない作りになっているようです。何人かにお聞きしたところ、読みやすく、あっという間に読んでしまったそうです。

店の事から始まって、自分の事、出身の高原書店、関わっているイベントの話、西荻窪の町の話、すべて当然ながら自分と店の周りの事柄です。なんだか恥ずかしくもあり、瑣末な事ばかりで、ゲラを見せていただいた時には、これで大丈夫なのかな?と不安になりました。

ただ穂村弘さんを始め、大竹昭子さん、岡崎武志さんなど、強力な助っ人も登場していただいています。またウチのカミさんのイラストや、川畑さんや望月さんの装丁や写真にも助けられ、なんとか体裁は整っていると思います。 気恥ずかしさもあり、いまだに自分では通読できない! のですが、ぜひ書店に並んでいる本をお手に取り、ページをめくってみてください。いかに周りの方の応援で、成り立っているかが確認できると思います。考えてみると本当に店と同じですね。これからも調子の良いときには考えられる、こんな気持ちをいつまでも持ち続けられるよう励んでゆきたいと思います。

メールマガジンご購読の皆さま、近くにお越しの際は、ぜひご来店ください。お待ちしております。


『西荻窪の古本屋さん 音羽館の日々と仕事』 広瀬 洋一 著
本の雑誌社刊
定価1575円(税込)好評発売中
  http://www.webdoku.jp/kanko/page/9784860112462.html


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