私共の店は最初から店売りでなく目録による通信販売を主体に商売をしてきたので、インターネットが発達してきた時から、目録に変わる大きな宣伝手段が現れたと考えていました。
目録とネットを対比して考えてみた場合、利便性ではネットの方が数段優れています。
古書業界にとってコスト面、及び商品情報の速い伝達という点においてネットが目録より効率が良いことは感じています。またお客様も、知っている本を手に入れる場合、ネットを利用する方が楽だと認識しておられると思います。事実、私共のお客様で従来目録をお送りしていた方でも、これからは必要な時にネットで検索しますので目録送付は不要です、とおっしゃる方が増えてきました。また目録からの注文でもE-mailや「日本の古本屋」等の検索サイトを経由した注文が増えてきました。
では、目録はもはや不要であるかと言われるとそうではないと、現時点では考えています。
その大きな理由として「デジタル・ディバイド」があると思います。すべての人がパソコンを自由自在に操り、目的とする情報を得ているでしょうか。日常パソコンを使っている人でも古書の検索サイトを良く理解して使用している人はそうたくさんはいないでしょう。
目録の優れている点はただの商品の羅列にとどまることなく、その店の扱っている商品を店主の観点から系統立てて見せることができるので、その店の専門分野を理解してもらうには良い手段であると思います。事実、目録を発行すればそこから注文していただけるお客様がまだ多くいらっしゃいます。
目録とネットは、その情報伝達媒体としての特性を良く理解して、使い分けることが重要ではないでしょうか。
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