新着情報 2012年

中央線支部
支部長の書店巡り vol.1



盛林堂書房
杉並区西荻窪2-23-12 (中央線西荻窪駅南口2分)
TEL 03-3333-6582
http://d.hatena.ne.jp/seirindou_syobou/

 休日は店の仕事が大変に忙しいとのことで9月2日(日)開店時間にお邪魔した。JR西荻窪駅南口から徒歩3分という至便な場所にある。まだ若い店主である小野純一さんの祖父が1949年に創業した。その祖父が亡くなって純一さんが二代目として店の切り盛りをしている。何も分からぬまま9年前に引き継いだ時、彼は都内800店以上の古書店をまわって棚の並べ方などを勉強したそうだ。その時のデータは今もパソコンに残っている。

店内は奥に向かって4列の書架が並び、天井までの棚には1冊ずつ丁寧にパラフィン紙のカバーをかけた本が整然と並んでいる。これを見ただけで、店主の本人に対する姿勢がわかるというものだ。それは自分が好きな本は並べるが嫌いな本は置かないと徹底している。

客に「好きな本に囲まれて、書斎のようだね」と言われるのも頷ける。店内にはこれまた店主がすきだというBill Evansのジャズ・ピアノが静に流れている。売上の90%以上が店売りだそうで、このためには来客者に不快感を与えないように店を清潔に保ち、客との会話を欠かさないようにしている。客とのコミュニケーションは最も大切であると強調する。それが新しいアイデアを生み、マーケットを広げていく。

本が売れないと毎日ぼやきながら座っているだけでは何も進展しない。開拓する意志と日々の努力だ。一人では限界がある。大勢が手をつなげば不可能だと思ったことも実現できるのではないか。店が西荻窪にある以上、地域との連携も大事で商店街とのつきあいもやっている。毎年御輿も担いでいる。地域に点在していた他の本屋さんとも協力し、点を線に、さらに面へとする努力は実を結び始めている。

西荻商店街での祭に 合わせて古本まつりをする夢もある。客との交流が深まり広がった結果として、例えば、客の紹介で出会った東雅夫氏(「幻想文学」の編集者であり、最近国書刊行会から『幻想文学講義−「幻想文学」対話集』を出版した)と協力して幻想文学関連の文献を蒐めて店に展示することを考えている。また今月中に幻想文学関係のフリーペーパーを発刊すべく編集中とのこと。

売る側も買う側も楽しみながら結構な売上げを出す「一箱古本市」の参加者に大きな刺激を受けたと語る小野さん。その眼に暗さはなく、地域を巻き込んだ発展を展望する光があったように思った。(K)

(この記事は中央線支部報2012年8月号から)


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