ミスター神保町 八木福次郎さんを偲ぶ

偲ぶ会にて
八勝堂書店 八木 勝さん
私と兄とは十五以上も年がはなれています。戦前は、何かにつけて子供だった私のいる田舎へ帰ってくる時に、いろいろな本を持って来てくれたことを覚えています。戦後、八木書店に入り、兄と一緒に近代文学館創立に貢献された、高見順さんのお宅にお伺いしたときなど、私は邪魔になると思って車の中で待っていましたが、高見さんに私のことを聞かれた兄が、「車の中にいる」と答えたところ、「そんな無礼なことをするな」と、叱られたエピソードを、よく書いたり、話したりしておりました。
現在の八勝堂書店があるのも、八木敏夫、福次郎の二人の兄貴があってこそ、と思っております。毎年四月の桜の咲く頃に、福次郎と共に車で千鳥ヶ淵や、市ヶ谷の法政大学近くの土手へ桜見をしておりました。ですが、それも去年までのこととなり、残念でなりません。
本日、たくさんの方から福次郎の思い出話をお聞かせいただいて、私も感無量でございます。本当にありがとうございました。