中央線支部 支部長の書店巡り
中央線支部
支部長の書店巡り vol.21

水中書店 武蔵野市中町1-23-14-102 TEL:0422-27-7783
店を訪れたのは月曜日の午後1時。JR三鷹駅北口を出て中町街道を吉祥寺方面へ、最初の信号を左に入れば右手に水中書店のテントが見える。駅から徒歩
5分。駅に近いが人通りは少なく、微妙な場所だ。店主は音羽館で2年半働いた今野真さん。今年1月に開店した。
いま店の前の道路は拡幅工事が行われてうるさいが、2車線になるそうだ。周辺にマンションも建っており、瀟洒なカフェやビストロでも出来れば人通りも増えるだろうと期待している。約15 坪の広々とした店内には左右の壁に高めの棚が、中央に3列、5段の棚がゆったりと置かれている。棚にはこれまたゆったりときれな本が並び、一見して新刊本屋と間違えそう。空気が流れ清潔感が漂っている。
黒縁メガネに洗ったばかりの白シャツを着た背の高い店主の今野さんは、礼儀正しく言葉遣いも丁寧。もうすぐ30歳。店の佇まいは店主の人柄を映し出している。早稲田大学大学院の修士論文ではフランス映画を扱った程の映画好き。ことに80年代以降にアメリカで多く出版された映画関連本を読み漁った。映画と言ってもヴィジュアルものではなく映画研究関連のアカデミック洋書に力を入れたいという。映画関係以外では、これから俳句や短歌関係の本も揃えていきたいと考えている。
ただ、住宅街近くの店なので人文関係以外のジャンルもひと通りは揃えておきたい。いま定休日は火曜日、12時に店を開け夜10時に閉める。客足が多くなるのは夕方から閉店間際まで。勤め帰の人たちが訪れる。今野さんが音羽館から独立したことをツイッターで知った若い女性が本を数冊買っていった。60代の男性は現代思想関係の洋書を買って行く。いま店頭買取も出張買取もそこそこあり、出来れば店売り一本でやっていきたいと考えてはいるが現実はなかなか厳しいとも。ファンが増えそうだ。(K)
(この記事は中央線支部報2014年5月号から)