中央線支部 支部長の書店巡り

中央線支部
支部長の書店巡り vol.4



古書コンコ堂
杉並区阿佐谷北 2-38-22 キリンヤビル 1階  TEL:03-5356-7283
http://konkodo.com/

 阿佐ヶ谷駅北口を出て、こんもりと繁ったケヤキ並木の中杉通りを右に見、アーケードを抜けると松山通りに入り徒歩5分、商店街の末端にコンコ堂はあった。ビルの1階、約3間の間口、17坪の店はかなり広く明るい。

まだ30代の店主・天野智行さんは音羽館で5年間働いて修業した後、昨年6月にこの店を開いた。開店場所を決めるに当たり、天野さんはカウンター片手に人の流れ、時間帯や曜日 毎の通行人の数、年齢層や性別なども調べて周到な準備をしたとの話を同業者から聞いた。

昼下がりなのに絶え間なく客が出入りしている。流れていたスウィングジャズと、どこか茫洋とした店主とマッチして店内がまたいい雰囲気を醸し出していた。むき出しの天井は高く、書棚は180センチよりも低く抑え、書棚の間も広めにレイアウトされてある。そのためか圧迫感が無い。客はあたかも本の森に踏み入って散策をしているかのように歩き回り、キノコを探し出し、野の花を摘むかのごとく本を抜き出して、嬉しそうにレジに持って行く。

きっとこれも周到な仕掛けだ。コンコ堂という名前は、レジの横の棚にのっているお狐様に由来するのかと思ったら、「玉石混淆」からきているとのこと。玉石が混ざっているところに面白さがあるのだと。従って棚の本も専門書に特化することなく、店主お気に入りの本だけを並べるのではなく、絵本から文学書、哲学書までまんべんなく揃えるようにしている。棚の上には奥様が選んだという可愛らしい小物もさりげなく並んでいて親しみやすい。買い取りした本は丁寧に汚れを拭き取り、書架が新しいこともあるのだが全体的に清潔感が漂い、旧来の日本の古本屋にはない新しさを感じさせる。

それも次から次に客を引き入れる大きな要因の一つになっているように思われる。営業時間は12時から夜の10時まで、夜遅くまで人通りが絶えない立地なのだ。従業員はいないから店番、仕入、整理、発送などほとんど一人でこなしている。体が二つあっても足りないほどの忙しさ。店売が主たる収入源だそうで、これには立地の良さやこの店の造りばかりだけではなく、若夫婦の努力と協力があるからなのだろう。

阿佐谷北には7軒もの古書店があるそうだが、おそらくコンコ堂のように勢いのある店は無いのではなかろうか。開店に際して、古本屋になることに反対した親からも借金をした。その返済と毎月の固定経費を合わせると相当な出費になる。しばらくはきつい労働の日々が続くだろうし、来年は二世が生まれる予定。これからが正念場だ。

支部長曰く、周りからの温かな支援があればこその明るさがみえると。天野さんはこれからの古書店のあり方として一つの方向性を示しているように見受けた。若手同業者の励みにもなるはずだ。(K)

(この記事は中央線支部報2012年11月号から)


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