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幻の土地「古本」を探せ。

こんにちは、「東京古書組合・広報課」です。
このコーナーでは、私たち東京古書組合や古書業界にまつわること、
またそんなことから少しはずれたこと、他愛ないこと、
なんでも気ままに(週一回か二回)書いて行きたいと思います。


※今回は、「古本で古本を読めるか?」という話です。


神田神保町と言えば、皆様もご存知の通り、世界に冠たる古書店街です。
170以上の個性的な古書店が集い、
さながら、梁山泊のような様相(?)を呈しているのです。
東京では他にも早稲田や本郷の古書店街が有名ですし、
また中央線沿線には、個性的な古本屋が数多くあることが知られています。
と、都内には約700店(東京古書組合加盟)の古書店がありますから、
こんなざっくりとした括り方ではいけないのですが、
ただ、多くの古本屋が根ざす土地・地域には、そうなるための要因が当然あるわけで、
それはまた、それぞれの土地によって異なってくるのだと思います(きっと)


土地の要因、ということを何となく考えてみると、
福井県小浜市が、地域おこしとして、
「オバマ候補を勝手に応援する会」(やがてオバマを勝手に応援する会へ)を
立ち上げた(?)ことが思い当たり、それから、
長嶋有さんの「エロマンガ島の三人」という小説へ思い及びました。
この小説は、実際にある「エロマンガ島」という場所で、
「エロ漫画」を読んだら面白いじゃないか、
と思い立った男達の話(いくらなんでも端折りすぎ)ですが、
そこからさらに思いは伸び、やがて「はっ、」と天啓。


「古本という名の土地で、古本を読むことはできないのかっ!」


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前置きが、大変長くなりました。失礼しました。
あの、今回は、「古本」という土地を探してみたいと思うんです!
(誰かが既にやってるかもしれないけれど……)



【色んな土地があるもので】


前置きが長くなったので、作業はささっと効率的に。
地図検索サイトからざっと探してみます。
いきなり「古本」とやってみては、面白くないので、
まずは「読書」と入れてみる。
と、これがずらっと出てくる。その数、22件。
そのすべてが、長野県木曽郡南木曽町というところにあって、
「読書」という単体(?)から、「~東町」「~上の原「~沼田」など、
色々と派生しています。
「読書で読書はできるわけだな」
と思ったのも、つかの間、
そうだ、「読書」と書かれていても、それがこっちの期待する、
「ドクショ」と読むとは限らない(当たり前です)。
住所検索をしてみると、
案の定、ここは「ヨミカキ」という土地であることが判明。
(それはそれでとても面白いですが)
土地の読み、というのは、そもそも訓読みであることの方が多いのではないか、
と、適当に地名を思い浮かべて、何となく不安になりつつも、
「古本」と検索してみる。
該当二件。
果たして「フルホン」と読むの、か?


【古本で、古本を】


一件目、
「秋田県横手市平鹿町浅舞古本町」という場所が出てくる。
「フルモトマチ(チョウ)」と読めば、いかにもありそうな響きです。
横手市のサイトを見てみると、この辺りには、
「浅舞のケヤキ」(通称:槻の木)という樹齢五百年以上のケヤキや、
(毎年12月中旬~1月中旬までの約1ヶ月間、5千個の電球がついた電飾を下ろすそうです)
トゲウオが生息している「琵琶沼」などあるそうです。
郵便番号で検索をしてみても、「浅舞」までで、わからない。
これは、直接聞いてみるしかない、と、平鹿町の地域局へ電話してみる。
「お忙しい中、大変もうしわけありません。
 つかぬことをお聞きしますが……」









「フルモトマチですね」








ああ、やっぱり!






結果:「古本町(フルモトマチ)で古本を読む」




き、気を取り直して、二件目、
「島根県鹿足郡吉賀町柿木村福川古本」
どこで切ればいいのか、見た感じではわかりませんが、
地図上では「古本」と独立した場所があって、近くに「福川」という川が流れています。
柿木村のサイトを見てみると、
「本村は、村制施行から110余年にわたり行政区域を変えることなく続いた、
日本で一番古い歴史を持つ由緒ある村である」
とあって、まさに古本を読むに相応しい土地であることがわかります。
こちらも住所ではわからないので、
さっそく吉賀町へ直接、問い合わせしてみることに。
「あの、お忙しいところ、誠に恐れ入ります。
 吉賀町にある、地名のことで、お聞きしたいのですが」






「それは、コモトですね」








「えっ」








「コ・モ・トです」








ヨソウガイデス!




結果:「古本(コモト)で古本を読む」




はい、大変残念な結果に終わってしまいました。
ちなみに駅名でも検索してみましたが、こちらも無いみたいです。
じゃあ、バス停はどうなんだろうと思いますし、
日本だけではなくて(それこそエロマンガ島のように!)世界に目を向ければ、
「フルホン」とか「フルフォン」とかいう地名があるかもわかりません。
ちょっと、今回はそこまでの気力が湧きませんでしたが、
機会があれば、調べてみたいな、と思います。


それではまた次回の雑記まで。
東京古書組合・広報課でした。