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■お知らせ■
この企画「現代古本屋の研究」は、古書と読者をつなぐ情報誌の
日本古書通信社が「今後の古本屋の在るべき姿を模索するために、
4つのテーマを決めて、全国の古書店主たちから、そのお考えを聞
く」ことを目的に同誌に掲載されました。
その考えに共鳴して、全国の組合員の古書店主達が、お忙しい中
ご自分の経験をもとに、渾身の原稿を寄せて下さいました。
今回のテーマは、連載4「最近の古書即売会事情」で、9人の古
書店主の文章と、読者として瀬川茜先生に寄稿していただきました。
ぜひご一読下さい。
尚、今回で「現代古本屋の研究」の連載は終了です。延べ四十名
の方が執筆してくださいました。改めて深く感謝いたします。
・其中堂 三浦了三
・矢野書房 矢野龍三
・三松堂書店 松本公生
・日月堂 佐藤真砂
・古書現世 向井透史
・西秋書店 西秋 学
・古書りぶる・りべろ 川口秀彦
・ポラン書房 石田恭介
・山猫館書房 水野真由美
・文化学院 瀬川 茜
(敬称略)
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◇◆◇縁日のにぎわいは昔日の彼方
京都・其中堂 三浦了三◇◆◇
早いもので京都古書研究会主催の百万遍古本まつりが、今年の秋、
第30回を迎える事になった。店の手伝いで店番したのが、大学1
年の時で、27年前のことになる。当時は、石畳の参道に一軒当た
り出店台が3台、約60台ほどの出店量でも、十分に「まつり」で
あり、縁日のにぎわいであった。近年は、境内全域を使い、一軒当
たり最低10台、軽く4倍くらいの本の量に増加している。
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◇◆◇「モダン古書展」のことなど
大阪・矢野書房 矢野龍三◇◆◇
小店は平均して年に五〜六回の即売会に参加しています。大阪古
書組合主催のものから数店の有志によるものまで形態は様々です。
会場も組合のフロア、百貨店、又は大阪天満宮境内など野外での催
しとバラエティに富んでいます。どの会場でも必ずといっていいほ
ど耳にするのが「即売会で売れなくなった」「昔は初日だけで○万
円は売れたのに、最近では…」という古書店の嘆きの声です。
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◇◆◇動かなくなったお客様
名古屋・三松堂書店 松本公生◇◆◇
私は大学を卒業してから2年間神保町の大雲堂書店で修業して、
昭和48年に父が営業していた店を手伝うようになりました。修業
した店が店売り主体だった所為もあるのでしょうが、私も店頭販売
に力を入れました。その頃は店売りが大変活発な時代で、入ったも
のはすべて店頭で売っておりました。そのせいか東京・大阪など地
方からも随分お客様に来ていただき、お茶を飲みながら古本談義を
したりして、時間に余裕もあり楽しい時代でした。
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◇◆◇イベントの位置づけ―独断の是非
青山・日月堂 佐藤真砂◇◆◇
二〇〇一年「女性古書店主たちのつくる棚」、〇二年「旅する絵
葉書」「雑誌マニア」、〇三年「ウルトラモダン」、〇四年「ムラ
カミ家のモノに見る昭和史」「印刷解体」、〇五年「印刷解体vo
l・2」、〇六年「学校用品店」。これが、あるギャラリーを会場
に、これまで手掛けてきた「企画展」である。今秋には「印刷解体
vol・3」の開催が既に決定している。
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◇◆◇パソコンの中の「古本市」という物語
早稲田・古書現世 向井透史◇◆◇
早稲田の古本市と言えば、月に一度のビッグボックス古本市と、
年に一度の早稲田青空古本市である。いきなりに、しかも参加して
いる自分が言うのもなんなのだが、早稲田系の即売会(特にビッグ
ボックス)は新しい本が多いので、「古書通信」をお読みのような、
昔ながらの古書ファン層には物足りないのではないかと思う。かつ
ては黒っぽい本も多い即売会だったのだが、今はひたすら白い。
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◇◆◇開拓の余地あり
神田・西秋書店 西秋 学◇◆◇
「アンダーグラウンド・ブック・カフェ 地下室の古書展」(以
下UBC)は二〇〇三年十月から始まった新しい古書展である。同
年七月に東京古書会館がリニューアルオープンした。「箱」が新し
くなったのなら、「中身」もと、既存とは違う古書展を目指した。
地下の会場は多目的ホールとして、音響、照明、スクリーン、額展
示用のレールなどの設備が設けられた。これらの立派な設備をフル
に使えば、おのずと新しいスタイルになるはず。
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◇◆◇古書即売会の様々な展開―ブックバザールの試みを中心に―
吉祥寺・古書りぶる・りべろ 川口秀彦◇◆◇
現在私が定期的に参加している古書即売会は、目録を発行するも
のでは、東京古書会館のぐろりや会(年六回)、南部古書会館の本
の散歩展(年二回)、銀座松坂屋で開かれることになったブックバ
ザール(年一〜二回)、目録を発行しないもので新宿西口古本まつ
り(年二回)と平安堂長野店古書まつり(年二〜三回)の五種類あ
る。それぞれが他の即売展にない特徴を持って展開している。
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◇◆◇ブックバザールへようこそ
練馬・ポラン書房 石田恭介◇◆◇
一年以上前のことですが、井上ひさし氏の講演を聞く機会に恵ま
れました。本のバザールを通して知り合った明治大学のサークル
「絵本工房」の学生さんといっしょでした。井上氏は、―汚濁に満
ち満ちている昨今、目も耳も塞ぎたいような事件ばかりのようだけ
れども、暗い激流の中にいくつもの小さな島ができているのを見逃
してはならない。弱い人に手を貸すというほんの少しの思いやりが
島をつくる。
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◇◆◇即売会は観察される場である
前橋・山猫館書房 水野真由美◇◆◇
開店から二五年間、参加している即売会は、ほぼ群馬県内に限ら
れる。会場は市街地の百貨店、スーパー、郊外の大型店、新刊書店
などだ。それぞれ売れ筋が違うため在庫の負担は大きいが、お声が
掛かれば何でもやる。店も文学書や美術書が多い程度の普通の町の
古本屋である。その範囲で感じる即売会の変化はどんなことがある
だろう?ここでは参加店で合同目録を発行している百貨店催事につ
いて考えてみたい。
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◇◆◇がんばれ!古書業界!
神田駿河台 文化学院 瀬川 茜◇◆◇
総てのものがその組み立てを根元から見直さねばならぬこの時代
に、私達は何をその「柱」としたら良いのか。古来日本独自の文化
として学問のみならず人々の生活に貢献してきた古書の世界が、そ
の伝統をくずされ、本来の働きが変質しようとしています。今こそ
「本」というものはいかなるものか、あらゆる淘汰を生きのびてき
た古書のもつ価値とはなんであるのか問いなおさねばなりません。
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☆次回のメルマガ『自著を語る』は、ブックデザイナー・大貫伸樹
さんの「本の手帳 創刊号」(A5判 48頁 840円
発行:本の手帳社 発売中)です。
大貫伸樹さんブログ→ http://d.hatena.ne.jp/shinju-oonuki/
ご期待下さい!
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