岳陽書店はこの九月で開店二十五年目となった。この間、試行錯誤の連続で、おおよその同業者なら出会うことであろうことを経験してきた。
どれもが中途半端なかたちで実を結んではいないのだが、とにかく二十五年の間に古本屋として過ごせたのは幸運だと思う。
現在、店舗は閉めて事務所のみの営業となっている。そのため売上の一〇〇パーセントをネット販売に頼っている。自店のホームページと東京古書組合がたち上げた「日本の古本屋」への参加だ。
ともに目標とする数字には達していないのが現状だが、とにかく日常の業務としての本のデータの入力と更新だけは心がけている。
当店の場合、ホームページは全国の古書ファンに岳陽堂書店という存在を知っていただく格好な手段であり、「日本の古本屋」は本を売る場所と割りきっている。「日本の古本屋」の検索で探していた本を見つけていただいたついでに、当店のホームページに来ていただき、品揃えを知っていただければいいと考えている。
ホームページには人文書を中心に約二万点の在庫を掲載している。日本歴史や昭和史、教育など十五のジャンルに分類している。その「哲学」の品揃えを見た方から「四十年前にワープ」したかのようだ、とのご指摘を受けたことがある。うれしい限りだ。意識したつもりもないが、自分の育った時代の本はひそかに集まってくるものらしい。この大分類の下に独自の小分類によるジャンル分けをしている。そしてこの小分類を関連づけるために、あえて小分類ごとの区切りを入れないことにしている。ホームページ上で本棚の間をめぐっていただく疑似体験を味わっていただけたらいいなと思っている。
本の仕入れのさい、未知の本を手にすると今でも心ときめくのはこんな理由かも知れない。
当店のホームページは探求書を探すためのものだけではなく、本と出会うという方向性ですすんでいきたいという考えだ。
どうか一度、岳陽堂書店のホームページを覗いて見て下さい。
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