文の京(ふみのみやこ)に、学術書とこだわりの古書屋。
明治時代から古書.専門書を中心に営業をしております我が文京支部では、古書業界外にも名が知られた著名な古書店主を多数輩出致しました。こちらではその諸先輩方の人生を振り返りたいと思います。
本日はお忙しいところ、誠にありがとうございます。この度は『古書月報』の連載企画「大先輩が語る」の第六回ということで、文京支部の皆様にお集まり頂きました。初めに自己紹介を兼ねて、お店の歴史や現在の営業形態などをお聞かせください。
棚沢氏は大正15年埼玉県熊谷市で7人兄弟の末弟として生まれ、昭和23年同じ熊谷出身の先代棚沢勝蔵氏の次女と結婚され、棚澤書店の2代目店主として古書業界入りをされました。81歳(平成20年現在)になられた現在でも日曜日以外は半日は帳場に立ち、古書会館(神保町)の市(「いち」入札やセリによる古書の業者市)に現在でも行かれている現役店主の中では文京支部内では最長老になられます。
中国から復員後、独立間もない杉原青年のお店にある日訪れたお客様から初の大口仕入の話が来ました。全財産を用意して臨んだ買取交渉は、果たして成功するのでしょうか。そして昭和46年、業界の将来の為に敢えて本部よりも出来高が良く「文京の古本屋」を取り上げた三島由紀夫氏の小説『永すぎた春』に登場する業者市のモデルにもなった文京支部業者市「赤門会」を無くし、本部業者市「資料会」との合併と言う困難な仕事に挑んだ杉原氏でしたが、支部の長老の猛反対の中、杉原氏の取った作戦は...。
昭和二十年の敗戦により焦土と化した日本の驚異的な復興の礎には、日本の学問の復興に人生を捧げた若い古書店主達の知られざる物語が有りました。今回は今まで語られる事の少なかった貴重な当時の秘話を文京支部の古老の方々に語って頂きました。
クリスチャンの品川さん(一〇二才)が平成十八年十一月三日昇天されました。品川さんは明治三十七年一月三十一日柏崎市品川牧場内で生れ、海に近い広々とした牧場の生活で育ちました。内村鑑三が品川さんの父豊治を講演旅行の途中訪れた時、一緒に写ってる写真を見せ乍ら、私に明治大正時代の事を話しました。
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